治療が終了したからといって、その歯は永久に虫歯にならない訳ではありません。かぶせた歯は神経がないので痛みを感じず、虫歯になっても気づかずに悪化してしまう場合があります。この様に、治療後に再び虫歯になることを「２次カリエス」といいます。一度治療した歯を再度虫歯にしないためには、各自で毎日歯磨きするセルフケアはもちろんのこと、プロによる定期的なメンテナンスを行うことが重要です。

虫歯や歯周病は悪い細菌によっておこります。

よく磨いているつもりなのに虫歯や歯周病などお口の悩みで苦労されている方がたくさんいます。
甘いものやおやつを食べても歯磨きをすれば大丈夫!と思っていませんか?　
毎日歯磨きをしていても虫歯になるのは､

①自分では磨いているつもりでもきちんと磨けていない｡
②間食が多く､1日に何回も甘いものを飲んだり食べたりしている｡

などが原因となっていることが多いです｡
虫歯の原因は､ミュータンス菌という細菌です｡ミュータンス菌が砂糖を原料として酸を作ることにより､歯の表面が溶かされ､虫歯ができます｡虫歯の原因になる悪い細菌を口の外に追い出すことや自分の食生活を改善することで､虫歯や歯周病の予防ができるのです。定期的な「歯のクリーニング」で細菌を追い出し虫歯の予防をしましょう。

歯の周囲には歯ブラシでは落とせない汚れがあります。

近年、虫歯や歯周病は歯の表面に付着した「細菌バイオフィルム」が原因で引き起こされることがわかってきました。このバイオフィルムは、細菌が分泌する多糖体に守られ強力に付着するため歯ブラシではなかなか取り除くことができません。
当院ではＰＭＴＣという「お口の清掃プログラム」を導入しておりますが、このＰＭＴＣはバイオフィルムを取り除く手段として最も効率的かつ効果的な方法と考えられています。また、クリーニングによって歯垢や表面の着色を落とし歯がツルツルに磨かれるだけでなく、歯肉の腫れや痛みを抑え、苦痛緩和、歯の延命効果が期待できます。
　

乳歯の虫歯予防～3つの理由～

①きちんと咬めなくなるので､顎の発育が悪くなる｡
乳歯の時期にはしっかりと咬むことによって､上下の顎がぐんぐん成長していく時期です｡しっかり咬むことによって刺激が顎に伝わり､しっかりした筋肉や顎ができ上がっていきます｡この時期に虫歯でしっかり咬めないと顎の発育が悪くなります。

②下から生えてくる永久歯のスペースがなくなってしまう｡
大人の歯（永久歯）は乳歯によって導かれます｡乳歯を早期に失うと､６才臼歯が手前に傾斜することによって続いて出てくる大人の歯の場所がなくなり､本来の正しい場所が分からず､勝手なところに出てきたりします。その結果､歯並びが悪くなるのです｡

③あとから生えてくる永久歯が虫歯になりやすい｡
乳歯の時期に虫歯がいっぱいあると食習慣もお口の中も虫歯になりやすい状態になっています｡その中にキレイな永久歯が出てきたらどうなるでしょう?　キレイな永久歯もすぐ虫歯になってしまいます｡永久歯が生える前に虫歯にならない環境を整えておくことが大事です｡
写真は､せっかく永久歯が生えてきたのに虫歯になってしまった例です｡

規則正しい食生活が大切です。

口の中に糖分を取り込むとミュータンス菌という細菌が口の中でたくさんの酸を作りだします。その酸が歯の表面のエナメル質を脱灰し（歯の表面を溶かす）虫歯になります。間食が多い人は、口の中に糖分が入っている時間が長く､唾液の緩衝作用（お口の中を中性に戻す作用）も働きにくくなるため､虫歯になる危険が高いのです。逆に間食を減らすことで唾液中に含まれるカルシウムやリン酸によって再石灰化が進み、小さな虫歯は唾液で修復できるようになりますので、虫歯になる危険が減ります。

※毎日歯磨きをしていても虫歯になってしまうのは､間食のとり方（甘いものやおやつの食べ方）に原因があることが多いのです｡

フッ素には歯を丈夫にする働きがあります。

フッ素は、ごく小さな虫歯であれば一度溶かしてしまった表面部分を修復して固める作用があります。フッ素は歯のエナメル質の表面のハイドロキシアパタイトと反応してフルオロアパタイトという強い層を作ります。フッ素を定期的に塗ることで硬いエナメル質を作り虫歯になりづらくします｡フッ素を定期的に塗ることによって虫歯になるのを予防します。
フッ素は､生えたての永久歯に塗ると非常に効果的だといわれています｡小学校１年生から６年生くらいまでの間は､新しい永久歯がどんどん生えてくる大事な時期です｡生えたての永久歯を虫歯にしないためにも４～６ヶ月に一度は定期的に歯医者さんでフッ素を塗ってもらいましょう｡